第13章 戻った日常
「はぁ…はぁ…っ…見てたん…ですか…っ…?」
ディープキスが終わったあと、息切れをしたまま聞いた。
「えぇ、当然です。」
「ど、どうして止めてくれなかったんですか…?」
「止められなかったのです。坊ちゃんのお世話で、大変忙しかったですから。」
あのまま、私が食べられていたら、どうするつもりだったのだろう。
「…セバスチャンは…私を…どうしたいのですか…?」
「…あなたに触れる邪魔者を全て排除し、私だけが触れ、そして…魂を」
「やっぱり、セバスチャンも私の魂が欲しいだけでしょ…?」
「…」
「クロードさんだって、そうだった…。所詮、私をまっすぐ見てくれる人は…シエルしかいない。」
もう悪魔に追われるのは散々だ。魂、魂って、結局は魂を喰らいたいだけの獣だ。
そうではなく、私はまっすぐ、正面から愛してほしいだけなのだ。
「っ…この魂がなければ、皆、私には近づかなかったでしょう?」
両腕で両目を隠した。ジワジワと袖に滲む水滴。
「だから…嫌なんです…。」
「…それでは逆に、あなたは私に、何を求めているのですか?」
「っ…!」
確かに、私はセバスチャンに何を求めてるのだろう。
「わからない…です…。」
彼に何を求めているのか。どうすれば自分が満足するか、わからない。
「でも…あなたには…シエルがいるじゃないですか…。どうして…他の魂にまで…。」
「悪魔はいつだって、美味な魂を求め続ける。そのためならどんなことだって致します。」