第11章 ヘンリー家の生き残り
「あのね、私が出かけていて、家に帰ったらお父様とお母様、お兄様もいなくなっていて、お屋敷も無くなっていたの!」
「っ…。」
「だから、誰がやったのか、伯爵にお手伝いをしてもらいに来たのよ。」
「…なぜ…ですか…?」
「ナツキ!」
シエルの声にも反応できなかった。
「ヘンリー家は、ヘンリーの血をひくものは、皆瞳の色は緑じゃないですか…。髪の色も、黒で…。」
「あら、あなたヘンリー家の容姿に随分と詳しいのね。私はバレないように、髪の色を変えて、瞳の色も変えてもらったのよ?」
「っ…。」(どうやって…?)
「目は、移植してもらったのよ。そこらの死人の目を使ってね。…本題だけど、私の本来の目的はあなた。ねえ、何か知らないかしら?ナツキ・ヘンリーさん?」
「!…」
そっくりだった。姉に…そっくり…。会いたくない、顔も見たくない人…。
「っ…申し訳ありませんが。」
でも、私は精一杯の笑顔を作った。
「私はエミル家の長女ですので。私はヘンリー家ではなく、エミル家の者ですのでわかりません。」
「!…そ、そんな…。」
「ですからリア様、彼女に聞こうとしても無駄です。」
シエルは言った。私とこの人をなるべく会わせないようにしていたのはこれが原因だったのだ。