第11章 ヘンリー家の生き残り
「…何か…あったの?」
屋敷に戻ると、シエルとセバスチャンがいなかった。どうやらお客様が来ていたらしい。
「あぁ…綺麗なお方ですだ…!」
「ホントですねぇ…!」
メイリンとフィニが部屋をこっそり覗いてうっとりしていた。視線の先には茶髪のロングヘアーの女性。赤いドレスに身を包み、シエルと何かを話していた。バルドは…というと、興味がないようで…。
「…!?」
「わわわっ…!」
セバスチャンがこちらに来たのか、皆が急いでその部屋から離れた。
私も書斎の掃除をすることにした。シエルがこの部屋にいないのは珍しい。
「!…」
窓ガラスを拭いていると、セバスチャンとシエルが庭へ移動していた。庭で食事をするらしい。
「…セバスチャンも…やっぱり話すんだ…。」
セバスチャンとさっきの女性が話していた。笑顔で、楽しそうに。
「…はぁ…。」
胸が痛んだ。
「…ん?」(なんで胸が痛む?)
持っていた雑巾を握りしめた。
「いや…いやいやいや…。」(セバスチャンのことは好きだけど…。)
そういう好きではない気がする。
「…はぁ…。」
仕事に戻ろう。見ているのが苦しくなり、別のところへ移動した。
「…よし。」
しばらくして掃除が終わった。あとはランドリールームにあるシーツを外に干すだけ。アンダーテイカーの所へ行っていて、いつもより仕事をするのが遅くなってしまった。