第11章 ヘンリー家の生き残り
「そ、そろそろ帰るね。今日はありがとう。」
「おや?もう言っちゃうのかい?」
「うん。」
私は葬儀屋のドアを開けた。その時だった。
「ナツキ。」
アンダーテイカーに名前を呼ばれ、振り向くと…。
「!…」
正面から抱きしめられた。何度もされていることなのに、やけに緊張してしまった。
「またおいで?」
「う、うん。また来るよ?」
「…小生にとって、君はとっても大事な存在なんだ。」
「うん?」
「だから、君をどこへも行かないように閉じ込め、小生以外とは関わらないように、どこかの部屋へ連れていってしまいたい。」
「…」(シエルと同じこと言ってるような…。)
「だからね、ナツキ。」
アンダーテイカーは私の両肩に手をつき、目線を合わせた。
「君は、どこへも行かないでほしい。」
そう言ったあと、アンダーテイカーは私に口づけをした。
「んっ…!」
驚いた。アンダーテイカーからキスをされるのはこれで2回目。アンダーテイカーは何を考えているのか、ホントに理解できない。
「あ、アンダーテイカー?」
唇を離したあと、私は名前を呼んだ。
「ナツキ。」
アンダーテイカーはまた私を抱きしめた。
「ど、どうしたの?なんか変だよ?」
「…」
アンダーテイカーはずっと黙って、私を抱きしめていた。
そのあと、私はなんとかアンダーテイカーから体を解放され、屋敷に戻った。