第1章 パーティー
「お前の姉は、ファントム社と契約をしなかったからあんなに発狂をしたんだろう。その痣は、お前の姉がやったのか?」
「……違います。…父です。」
「…」
「…父は…仕事で上手くいかなかったとき、私に暴力を振るうんです。顔は、暴力を振るっているとバレるから、顔には痣がないんです。」
「…」
伯爵とセバスチャンは、ただ黙って聞いてくれていた。
「…家族や親戚は皆、私を気持ち悪いと言います。ヘンリーという姓が付くものは、皆瞳の色が緑色なんです。でも、私だけ青なので…気持ち悪いと言われます。」
「…だからなんだ?」
「!…え…?」
「暴力を振るっているのが父だ、そう言ったあと、お前は何を恐れていた?」
「……居場所が…なくなると思っていたんです…。」
「居場所?」
伯爵は眉をひそめた。
「…私には…あそこしか居場所がありません…。このようなことを話せば、ヘンリー社は破産します。そして、評判も落ち、私は居場所がなくなります。それどころか、父に殺されるかもしれません…。」
俯いたままそう呟いた。
「…ならば、ここにいればいいだろう。」
「!…」
「セバスチャン。コイツの部屋を用意しろ。」
「yes、my load。」
「!…そ、そんな…で、できません…。」
「なら、お前はその父親とやらに殺されに行くのか?」
「っ…。」
殺されるのは嫌だ。でもこの人達に迷惑をかけるのも嫌。