第1章 灰色の蒼空
それから、店は良い盛り上がりを見せ
俺は、今日の売上トップをとり
ラストソングを歌って営業は終わった。
19時半から0時まで働く俺らは、
一部の人間で。
これから6時から働くプレイヤー達が
店に入ってくる。
俺は売上トップを取ったこともあって、
身体には酒がどっぷり入ってた。
・・ 正直こんなのはいつもの事。
酒が回りすぎて潰れるなんてよくあったし、
トイレから抜け出せないことなんてしょっちゅう。
今の俺には、この程度の酒なら全然余裕だった。
それでも、今日はハメを外し過ぎた。
少しくらくらする・・・。
ふらふらと、静けさを取り戻した店内から
営業が終わって、帰り支度をするキャストで
いっぱいのバックヤードに戻った。
ロッカーにもたれ掛かりながら
他のキャストと少し会話をしていると・・。
『 翔さん、和也が・・・ 』
S「 ああ・・あいつがどうかしたのか? 」
内勤の子から聞かされた話だと
ここにいる筈・・・。
俺は、和也が気になって店のトイレに
来ていた。
奥の個室の扉がひとつだけ閉ざされていて
中から嘔吐く音が聞こえてくる。
S 「 和也・・? 酒にやられたんだろ? 大丈夫か? 」
俺が声を掛けてやれば、中からは
辛そうでか細い和也の声が聞こえてきた。
N 「・・うっ、く・・っ、お、え・・っ 」
・・・まあ、あんな状態じゃ
まともに答えろって方が無理な話か。
俺は和也が落ち着いて出てくるまで、
個室の前で和也を待った・・。