第1章 灰色の蒼空
俺は和也と名乗るそいつを、
上から下までゆっくりと眺めた。
男の割に華奢で、白い肌とそれに映える
黒いサラサラな髪・・・。
瞳は仔犬の様に潤んでて、顎はシャープに
尖ってる。
・・・ こいつ、女ウケするんだろうな。
S 「 体入して、ほんとにお前がココで働きたいなら、是非とも働いてくれ 」
N 「 え ・・ いいんですか? 」
S 「 ああ、俺は確信した。 お前は絶対売れるよ 」
N 「 あ、ありがとう・・ ございますっ! 」
丁寧にお辞儀をした和也の頭を撫でてやる。
そんな中、19時半オープンに向け
店はバタついていた。
俺は幹部だから、少し遅めに店に入る。
いつもなら20時半なんだけど、
今日は体入してる和也がいるから。
少しだけ早めに入って、様子を見ていた。
ちゃんと、客の相手をしながら。
S 「 姫、今日も来てくれたの? めっちゃ嬉しいよ 」
『 だってぇ、大好きな翔くんの為だもん 』
今付いてる席の客は、俺を指名してくれてる
長年の大事な太客。
俺は姫の頭を優しく撫でながら、
いつものようにふんわりと王子様笑顔を魅せる。
『 そう言えば ・・ あの子、見た事ないよね? 』
そう言って姫が指したのは、体入してる和也。
やんわりした笑顔で初めての客と接してる
和也は、やはり素質がありそうだった。
S 「 ・・ 姫、気になる? 和也のこと 」
『 なんかね、華があるかなあって・・ ヘルプに付けてもいい? 』
S「 もちろん、色々教えてあげてよ 」
俺はそばに居た付け回しに、
和也をヘルプに付けるよう頼んだ。