第1章 灰色の蒼空
和也を担ぎながら冷たい廊下を
ゆっくりと進んだ。
リビングに連れて行こうとして
足を止める。
・・ ソファで寝かせる、って
あんまりにも酷すぎるか。
和也は酒に酔ってるみたいだし、
形は招かれた客だ。
俺は進める足の向きを変えて、
廊下の中央にある自分の寝室の扉を開けた。
S 「 おい、お前意識あるか ・・ ? 」
一人で寝るには寂しいくらいの大きさの
ダブルベッドへ和也を寝かせた。
和也の頬を軽く叩くと、和也は
眉間に皺を寄せただけで目を開けようとはしない。
S 「 お前、吐いてたのに ・・ あれから飲んだのかよ 」
そう呟いて、ある事に気付いた。
そうか、あの時の酒が ・・ 今、身体に回り始めたのか。
それにしても、雅紀とは
いつの間に家まで知る関係になったんだろう。
俺は和也を見下ろしながら、
その可愛らしい寝顔に心の中で問い掛けた。
まあ、俺には関係ない事だけどな。
S 「 あ、水とタオルが必要か ・・ 」
自分がよく酔いすぎた時に使うものを
あるだけ用意して、ベッドのサイドテーブルへ並べた。
服は、デニムだけを脱がせて
上はTシャツのみの格好にした。
男同士だし、格好なんて何だっていいだろ。
上から掛け布団をかけた後俺は、
ソファに座ってやっと落ち着いた。
俺は一体何をしてるんだ・・ 。