第1章 灰色の蒼空
夜がまだ明けきらない、この街の外。
道端で寝転がっている奴がいても、
駐車場の端で吐いてる奴がいても。
俺の歩いているこの街は、それを
風景として受け入れる。
俺は、久しぶりに吐き出した欲で
すっきりしていた。
それは逆に、頭が冷静さを取り戻している
事の証明でもある。
酔いが覚めたのと、身体がすっきりした事で
ちゃんと頭が回転を始める。
S 「 ・・・ やっぱりあんな事、すんじゃなかった 」
冷静さを取り戻した頭は
先程の和也との行為を、嫌悪感の塊としている。
考えればすぐに、身体に蘇る
和也の熱い吐息や蕩けた表情・・。
それを思い出すと・・。
やっぱりむしゃくしゃすんだよ。
なんでか知らねぇけど、イラつくんだ。
ああ、こんなにも後味悪ぃんなら
あの時酔っていたとしても、すんじゃなかった。
S 「 ・・ これからあいつにどんな顔して会えばいいんだよ 」
俺は、灰色に濁ったこの街の空に
煙草の先端に火を付けながら問いかけた・・。