第1章 灰色の蒼空
N 「 ・・ っ、はぁぁ ・・ あ、あ・・ っ 」
荒い呼吸を整えようと、互いに深く
深呼吸を繰り返す。
俺が捲りあげた和也のシャツから覗く
きめ細やかな肌の白い腹。
深呼吸のせいで、大きく膨らんだり
小さく萎んだり・・。
その脈動する腹を見たあと、視線を
自身の手に向けた。
その中に散った白い華・・・。
S 「 ・・ 和也、ごめんな 」
N 「 え ・・・ っ? 」
俺の手の中に散った白い花弁を見たら
何とも言えない罪悪感に襲われた。
・・ なんで手を出してしまったんだろう。
大人の社会を分かり始めた若者に、
とんだ過ちを犯してしまった。
もし、取り返しのつかない事を
してしまったのなら、俺は責任を取れるのか。
己の欲がままに、知識のない子を
貪ってしまったことへの罪悪感・・・。
25 の俺が、ちゃんと大人として
今出来ること。
S 「 ・・ なんで男なんて相手にしちまったんだ ・・ 」
N 「 ・・あ、あの・・ 翔さん ? 」
S 「 終わって気付いたわ ・・ 俺、相当酔ってたみたいだな 」
和也が俺を憎むように仕向けること。
酔った勢いで犯した過ちなら、和也も
忘れることが出来るだろう。
それに、こんな先輩を慕わなくてもいいんだ。
正直俺も、こんな事になるなんて思って
いなかったんだから。
全ては水に流してしまおう。
S 「 ・・ 和也、全部忘れろ ・・ お前と俺の為に 」
N 「 はい ・・・ 」
和也の冷たい瞳に、心がちくりと音を立てたが
そんなものは一時の気の迷いに過ぎない。
俺はどうせ、人間のクズだ・・。