第1章 灰色の蒼空
・・ギッ なんて、よくあるアダルトビデオ
みたいな音を立てて大の男ふたりが
小さなソファーでひとつになろうとしている。
これからしようとしている事に
確かな意味なんてないはずなのに・・。
誰も居なくなったって言ったって
6時から出勤してくる奴が来るかもしれないのに。
S 「 お前が下で良いのか ・・ ? 」
頭では冷静な事を考えていても、
本能で動く身体は止められなかった。
ああ・・ そうだ。
俺は酒に酔っているんだ。
なら全てを、この身に任せてしまおう。
どうせ一度きりの過ちだろうから。
N 「 いいですよ ・・ 俺はなんでも 」
S 「 じゃあ、遠慮なく 」
どこか投げやりで、諦めたような口ぶり。
それでも手が止まらないのは、
それほどに和也が魅力的に見えるんだろう。
俺はゆっくり、和也のシャツの下へ
手を滑り込ませていった。
さっきまで吐き出していた白い腹。
出すものがなくなって、
細くなっている。
シャツを捲りあげて、その小さく
見えた腹筋に軽い口付けを落としていく。
N 「 ・・ んっ、 あっ ・・ や、ぁっ 」
ジャケットの袖を口で噛みながら
小さく小さく漏らす喘ぎ声・・。
酒が入りすぎて勃たないのかとも
考えたが・・。
これは、そうじゃなくて
酒のせいで和也の身体が敏感になっているんだ。
S 「 お前 ・・ すげぇそそるよ 」
俺はそっと和也の黒髪を撫でて
紅潮した頬にキスを落とした。