第3章 番外編①~みなさんの前で--!
……私はふと思った。この、私が感情的に押されている状況、どうやったらハイネを少しでも照れさせることが出来るか。考えた案はこうだ。
『抱きつく』
……それだけだ。「……それで?」とか言われそうだが、しかたない。私には、自分から何かをハイネに対してするなんてことなんて、出来そうにないと思ったからだ。
今までの行動を知っての通り、私は簡単に赤くなってしまう。……いや、させられてしまうのだ、私が単純すぎて。
なので、私からするのにはこれが限界なのだ。そう思い立てば、早い。
私はハイネの背中に手を伸ばし、自分の体を寄せる。すると、ハイネは上から抱きしめてくれた。
……あったかい。なんか、好きな人と付き合えて、こんなことまでしてもらえて、好きになってもらって。私って、幸せの渦のど真ん中にいるんじゃないかって今、思う。
「……急にどうしたんです?デレデレモードに入っちゃったんですか?」
「んふふっ。もっと抱きついていたい気持ちは
あるのかもしれませんね。」
やはり、昔からの敬語で話すクセはパッとは、直らない。でも、あえて使わずに話すよりも、そのまま喋った方が話しやすくて、より素が出るので、こっちが多くなるだろう。
「あの、私は貴方をどうしたらいいんですか…。」
「ハイネの好きなよう、ご自由にどうぞ。」
私はのびのびとしていた。このまま、眠ってしまおうかとも思っていた。
だか、今日のハイネのスイッチは『ON』らしい。
「ご自由に……、ですか。やめてと言われても、止まれませんよ。……本当に、いいんですね?」
明るい昼の中でも、ハイネの瞳は一層光を放っている。まるで私を逃さないとでも言っているように。