第1章 係決めの日に休むとロク事ない
夏風邪で休んだ翌日、私は教室の貼り紙を見て、絶望に打ちひしがれた。
銀八先生の思い付きに近い提案で、掃除当番なるものが作られたのは一昨日のHR。
もちろん清掃の時間はあるけれど、それだけでは片付けきれないのが現状。それで放課後、残った掃除をする係を日替わりで決める事になったのだ。
席順とかで良いじゃないかというのが大半の意見だったが、近藤君がそれはつまらないだのなんだの言い、翌日、つまり私が休んだ昨日、その組み合わせが決められたのだ。
…あのゴリラ、どうせ妙ちゃんと一緒になれるかもとかだろ。余計な事を。
私は心の中で毒づいた。
何故なら本日の掃除係に書かれていたのは、私と、学校最凶のクラスメイト、高杉晋助その人の名前だったからだ。
貼り紙の前に立ち尽くす私に、同情の視線が痛い。
というか、皆が私に押し付けたんでしょ!
「あの…さん」
声に振り向くと、新八君が弱々しい笑みを浮かべていた。
「たぶん、高杉君はこういうのやらずに帰っちゃうと思うからさ、僕も手伝うよ」
新八君、君は天使なのか。メガネが光り輝いてまぶしくて見えないよ。
「…ありがとう」
私はたぶん、新八君以上に弱々しい笑みで返した。