第1章 ヒロイン目線
右足首がひんやりとしている。
私はそっと目を開けた。
「気づいたか」
声に目をやると、窓を背にして、晋助が煙管を吹いていた。
起き上がろうとする私を片手で助ける晋助に、目で問う。
「神社から一番近い宿だ。それより、頭とか打ったわけじゃねぇよな」
突き飛ばされた時、頭は打たなかった。
気を失ったのは、恐怖やら何やらでワケがわからなくなったからだ。
そう言うと、晋助の肩の力が抜けた。
「足は痛むか?少し腫れてたから、冷やしてみた」
「うん、冷たくて、気持ちいい」
「そうか」
晋助はそうつぶやき、煙管を盆に乗せた。
「じゃあ、もう少し気持ちよくしてやろうか」
「…え?」
聞き返した私の背中に晋助の左手が回る。
右手は私の帯を解き、あっという間に着物は脱がされた。
「ちょ、ちょっと待って…」
「待てねぇ…あ?何だこれ⁉」
晋助が声を荒げて私の左肩を見た。
さっき辻斬りに掴まれた所が、指の形にクッキリとアザになっている。
「うわぁ…」
私は自分の左肩から目を背けた。と…晋助はいきなり左肩を強く吸った。
「えっ、何、ちょっと、ヤダ、かまないで」
「うるせぇ、痕隠してんだろ、だいたいお前の体に痕つけていいのは俺だけだ」
晋助は私に構わず、左肩を執拗に吸い、たまに噛む。しかも手は私の乳房、太もも、それから敏感な部分を、揉みさすりながらだ。
「晋…や、ん…やめて」
「止めねぇ」
「〜〜〜!」
何度目かの甘噛みを終え、やっと晋助は顔を上げた。
窓から入った月明かりがその顔を照らす。
晋助は、困ったような笑みを浮かべていた。
「悪ぃな〇〇、あんな目にあった後だ。手加減してやろうと思っていたが、余裕がなくなった…なんせ、128日ぶりだからな。無理もあるめぇ」
「えっ?」
驚いて聞き返す。だって…。
「あ?なんだよその面は。俺だって、逢えねぇ日を指折り数えるくらいには、お前に惚れてるってぇ事だ」
そう言うと、晋助は自分の着物を脱ぎ、裸で覆いかぶさった。