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お百度参り

第1章 ヒロイン目線


私が差し出した羽織を受け取ると、晋助はチラッと見たあと、肩にかけた。
そんなに血はついていないようだ。
私はなんとなくホッとして、立ち上がろうとした。右足首に鋭い痛みがはしる。
「…っ」
よろけた私を、晋助がとっさに支えた。
「どうした⁉」
「あ、さっき、ぶつけたみたいで」
晋助は私の足首に目をやったが、月が雲に隠れてしまい、あまり見えない。
と、突然私は晋助に抱きかかえられた。
「え、ちょっ」
「おとなしくしてろ」
まさしくお姫様抱っこの状態で、晋助は神社の石段を降りていく。
「〇〇、あんま下見んな」
言われて気づいた。石段には辻斬りが冷たくなっているのだ。
お百度参りをして満願叶えてくれた神社で、辻斬りとはいえ…バチあたり過ぎる。
私は急にクラクラしてきた。
「〇〇?おい、どうした⁉」
耳元で呼ぶ晋助の声が、何故か遠くから聞こえた。
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