第2章 晋助目線
〇〇が渡してきた羽織を受け取る。
月明かりでチラッと見た分には、目立って汚れてはいない。
横で立ち上がろうとした〇〇が、小さな悲鳴をあげてよろけた。
慌てて腕を伸ばす。今度は間に合い、その体を抱き止める。柔らかく、甘い匂い。
突き飛ばされた時に足を痛めたらしいが、足元は暗く、よく見えねぇ。
俺はそのまま〇〇を抱き上げた。
驚いているが、かまわずに石段を降りながら、倒れている辻斬りを見ねぇように言う。
返事が無い。と、〇〇の体から力が抜けた。
落ちないように支えなおして名前を呼ぶが、やはり返事は無く、グッタリとしている。
まさか、さっき頭でも打ったのか。
とにかく、早くどこかで休ませてぇ。
俺は近くに見える宿屋の灯りを目指した。