第2章 晋助目線
全速力で石段を駆け上がる。
男がまさに〇〇に斬りつけようとした瞬間、その腕を掴む。
「その女から手を離しな」
ギョッとする男2人〇〇はキョトンとしたような顔で俺を見た。
もがく男を思い切り投げ飛ばす。
鈍く、骨が砕ける音がした。
〇〇を捕まえている男は、仲間が消えた方を見て体を強張らせる。痛いのか〇〇が呻く。
この野郎…。
「聞こえねぇか。その女から手を離せって言ってんだろ。そいつは、俺のだ」
言ったそばから、男は小刀を〇〇の喉元に突き付けた。怒りで目の前がくらむ。
数秒、睨み合う。と、男は突然〇〇を突き飛ばした。慌てて腕を伸ばしたが、間に合わず、〇〇は石段を転がり、石灯籠に倒れた。
俺は羽織を脱ぎ、〇〇に血が付かねぇように被せてから刀を抜いた。
一息で男を斬り、これも石段の下へ蹴る。
〇〇に駆け寄り、羽織を取る。
蒼白な顔。血は出ていねぇようだが。
「怪我してねぇか」
弱々しくだか、〇〇は頷いた。
安堵のため息が出る。
まったく、本当に危なかった。もう少し遅ければ、今俺は〇〇の骸を抱いていたのだ。
そんなのは許さねぇ。
この腐った世界で、この女だけが、確かに俺が帰りたいと思う唯一の場所なのだ。
さて、それをどう伝えよう。
まずは辻斬りが出るというのに、出歩いた事を叱らなきゃならねぇ。
俺は〇〇を見つめ、息を吸い込んだ。