第3章 告白の後の話

「よろしく」なんて軽く言われて、やっぱり彼は優しいなぁと感じる。

重くならないように
助け舟を出してくれているのだ。

こんなに優しく接してくれて
幸せな気持ちにさせてくれる。

愛しい。
触れて欲しい。
最後までして欲しい。
彼が欲しくてたまらない。

彼が笑っている時、
ずっと横でみていた。

彼が嫌な顔をすれば、
悲しくなる。辛くなる。

ツバキを見ている時は
ずっと、気持ちを押し殺していた。

"ツバキに優しくしないで"

汚い感情をずっと隠していた。

ツバキだけじゃない、
彼と並んで歩く女性全てに嫉妬していた。

彼の事になるとムキになり、こんなに心を乱し、感情を露わにしてしまう。
ボロボロに泣いている。

彼と並んで歩く女性の
全てに嫉妬して刃を向けていた。

もう私は27歳なんだ。
こんな思春期の恋愛みたいに
失恋して、八つ当たりして慰めてもらうなんて、本当に恥ずかしくないのか？

自分はそれで本当にいいのか？
もう13年経ったんだ。

いい加減不毛だとは思わないのか？
彼を何故一度も諦めようとしなかった？

もう、13年前のカカシはいないし、彼ももう変わっている。

私も13年前から変わっているはずなのに、いつまでも変わらない。

(早く理想を捨てろ)

しつこいと思わないのか？
恥ずかしくないのか？


それなのにカカシを離さない。今だってチャンスだと思っている。

優しい彼を利用して
次にどうしようか考えている。

カカシが興奮してくれているなら身体の関係に持ち込んで、責任を取らせようか。
タイミングよく孕めばいいのに…




"汚い。自重しろよ、変態"




今、自嘲気味に乾いた笑いが
込み上げそうになった。



最低な人間だ。
自分がまさか、ここまで卑屈で汚いとは夢にも思わなかった。


一瞬で冷や水のような冷たい感情を頭からかけられた気分になる。


汚い。本当に汚い。
気持ち悪い。

女の武器を平気で使って
優しい彼を嵌めようなんて
最低だとは思わないのか？



彼を可哀想だとは
自分で思わないのか？

もういいでしょう？
もう十分に優しくしてもらったでしょう？
慰めてくれたじゃない。

ありがとうって感謝を述べて終わりにすればいいんじゃない？

可愛い大好きな
ツバキとカカシは別れたんだ。

もうそれで満足でしょう？