第10章 逢瀬と不穏な影
謙信「で?どの着物を買うのだ?」
葵「悩み中です。
世話役としてのお金が手に入ったので、
一度着物を自分で買ってみたかったんですよね」
謙信「そういえばいつもは女中に選ばせていたな・・・」
葵「まだそんなにお金持っているわけではないので、
買える着物限られているので悩みますね」
謙信「・・・どれが欲しい?」
葵「え?いや自分のお金で買いますよ?」
謙信「いいから言え」
葵「その・・・あの着物を・・・」
葵は恐る恐る一つの着物を指さす。
謙信「そうか。店主」
店主「これは、これは謙信様。今日はどのような用で?」
謙信が店主を呼ぶと店主は急いで謙信に問いかけた。
謙信「これとあの着物とあとその反物を頼む」
店主「は・・・すぐにお持ちいたします」
葵「!!あの・・・欲しいのはそれだけなんですが?」
謙信「分かっておる。
あとは俺がお前にあげたいだけだ。
俺の顔をたてて素直に受け取れ」
謙信は葵にそう言う。