第10章 逢瀬と不穏な影
葵「でも反物は受け取れませんよ?」
謙信「なぜだ?」
葵「着物なんて縫えませんから」
謙信「誰がお前に作らせると言った。
あとで針子に頼んで作らせるから心配するな」
葵「そうですか・・・」
謙信「そうだ。だから反物も素直に受け取れ」
葵「全身謙信様の贈り物だらけですね」
謙信「嫌か?」
葵「いえ、そのうち本当に、
謙信様なしじゃ、
生きられなくなりそうだなと・・・
今も謙信様がそばにいないと生きられないのに」
葵は謙信に守ってもらわなければだめな弱い自分。
謙信の子種がなければ死んでいた自分を思い憂いていた。
謙信「俺がいなければ生きられぬお前か・・・
俺は最高に望ましいがな」
謙信はそう言い放つ。その目は獰猛な獣のようであった。
そんな二人の様子を見ていた影があったのを、
この時の二人は気づいていなかった
??「見つけたぞ・・・裏切り者・・・葵」