第10章 逢瀬と不穏な影
葵「・・・・・・謙信様、本気なんですね」
謙信「本気とはなんだ・・・?」
葵「いや・・・その私を助けるためだけに、
あんなことしたのかなと思ったので」
謙信「俺は好きでもない女子に、
子種を注ぐ趣味はない」
葵「分かってはいます・・・・・・
でも私なんかが愛されているっていうのが、
まだ信じられなくって・・・」
謙信「・・・・・・前から気になっていたが、
お前はなぜいつも私なんかという」
謙信は葵に問う。
二人の関係は恋仲にはなったが、
葵の態度は、
恋仲になる前と特に変わってはいない。
かつて謙信が気に入らないと言っていた、
あの態度のままだった。
葵「・・・それは・・・」
謙信「いう気はないか・・・だが忘れぬな。
お前は俺の女だということを。
俺の好きな女を卑下するのは、
たとえお前であっても許さぬ」
葵「すみません・・・」
謙信「帰ったら仕置きだ」
謙信は一言そう告げた。