第9章 復活
葵「・・・さい。ごめ・・・なさい・・・」
夢の中で何かに謝っているらしい彼女に、
謙信は欲を忘れ、葵を見つめていた。
謙信「何の夢を見ている。
お前はもう俺のものだろう?
俺のこと以外で涙を流すな」
謙信はそういうと、
葵の身体を自分の身体から外し、
彼女を起こさないように褥から出ていた。
彼女の額にあてていた手ぬぐいと、
その手ぬぐいを濡らしていた盥の水は、
すでにぬるくなっている。
部屋の外にいた一人の家臣に、
新しいてぬぐいと水を持ってこさせると、
謙信は、葵を起こさないように、
その身体を清めていく。
おそらくじきに、信玄たちがこの部屋にくる。
その前に彼女に着物を着せなければ、
この柔肌を信玄たちの目にさらすことになる、
それだけは避けなければならないと、
謙信は早急かつ丁寧に葵の身体を隠していった。