第8章 覚悟 ※R-18
幸村「・・・端から謙信様と夜伽をする気なんて・・・
なかったんだな・・・?」
葵「・・・する気はありましたよ・・・
でも二月ではできないだろうなと・・・
そう思ったんです。
・・・だからどうせ死ぬ身なら・・・・・・
最期に爪痕を残してやろうと、
そう思ったんです・・・」
謙信「なぜ・・・・・・」
葵「謙信様。あなたが好きだからです・・・
夢魔でも・・・
嫌われていても・・・
二月の命でも・・・・・・
私はあなたが欲しかった・・・
ううん・・・本当はそんなこと関係なく、
あなたを好きになっていた。
・・・好きになってごめんなさい。
こんな私なんか愛されるわけはないって・・・
そう分かっているのに・・・」
私なんかそうつぶやく葵に、
謙信はひどい憤りを感じていた。
義元はそんな謙信の表情をじっと見ながら、
何事もないかのように、鉄扇で葵を仰ぎ続ける。
その横では佐助が水で浸した手ぬぐいを絞り、
葵の額にその手ぬぐいをそっとおいていた。