第8章 覚悟 ※R-18
葵「け・・・謙信様・・・信玄様・・・
・・・すいません。
みっともないところを・・・」
謙信と信玄の姿に気づいた葵は、
無理やりその身体を起そうとしていた。
その姿はあまりにも痛々しかった。
義元「無理をしないほうがいい。ひどい熱だ」
信玄「・・・義元お前はなぜここに」
義元「倒れた場面に偶然居合わせてね。
謙信には悪いけど、俺が運ばせてもらった」
謙信「そうか苦労をかけたな義元。
葵・・・なぜ具合が悪いのを隠していた。
・・・すぐ医者を呼ぶ」
葵「いえ・・・いいです・・・」
謙信「なぜだ・・・・・・」
葵「・・・人間の医者が私を治せると、
・・・本当にお思いですか・・・?」
人間の医者、その言葉に謙信ははっとした。
ああ・・・この娘は本当に自分とは違うのだと・・・
彼女の事を自分はまるで知らないのだと・・・
葵「それに薄々こうなることは・・・
分かっていましたから・・・」
苦しげだが覚悟を決めたような風に、
葵はそうつぶやく。
いつの間にか水を入れた、
たらいを持ってきていた佐助と、
その付き添いであろう幸村も、
彼女の脇に座っている。
謙信「どういう意味だ・・・
答えろ・・・葵」
困ったような笑顔を一瞬浮かべた葵は、
やがて決心したように彼らに告げた。