第7章 異変
謙信「ならば、それは隠しておけ・・・
人間の雄という生き物はお前が思っているより、
よほど欲深く単純だからな」
葵の言葉に対する苛立ちを押し殺しながら、
謙信は葵に忠告をする。
葵「あの・・・
どうやってまけばいいですか・・・?」
葵は困ったように言う。
謙信「しょうのない娘だ。俺がまいてやろう」
謙信はそういうと葵の尻尾に、
布をシュルリとあてがう。
葵「ふ・・・ひゃ・・・ぁ」
謙信「こら・・・静かにしろ。
布が巻けぬだろう」
謙信は葵をたしなめながら、
尻尾に布を結ぶ。
葵の尻尾には謙信のものである水色の布が、
まるでリボンのように結ばれ、
葵の尻尾とともにゆらゆらと揺れていた。
謙信「これでよい。用は終わりだ。出ていけ」
葵「は・・・はい」
ばたばたと葵は謙信の部屋を後にする。