第6章 勝負の始まり
その様子を四人は拍子抜けした顔で見送った。
幸村「なあ・・・案外、あれすぐ一人前にならねえ?」
信玄「いや一人前になったら、
いなくなると思って手を出さないな。
二月たって、
試験と関係なくなってからと、俺は見る」
佐助「しかし試験と関係なくなったら、
彼女がここにいる理由は、
なくなると思いますが・・・」
義元「その場合があるのか・・・
でもあの子は試験達成に、
やけにこだわっているよね。
謙信で試験を達成しないと、
いけない理由でもあるのかな?」
佐助「そうですね」
信玄「まあでもそれは、あの子と謙信の問題だ。
俺たちは謙信がおかしなことをしないように、
せいぜい見守っていよう」
幸村「あいつじゃなくて謙信様をですか・・・」
信玄「ああ、謙信は危うい男だから」
義元「ところで味見ってあれ嘘でしょ?信玄」
信玄「いや?興味はあるぞ。
だが・・・たぶんあの子は・・・
俺たちとはそうならない」
幸村「分かるんですか?信玄様」
信玄「まあな。あの子が拒むか、
謙信が独占するか・・・
いずれにしてもな・・・
しかし本当にあの子は惜しいな」
佐助「・・・そう・・・ですね・・・」
四人はしばらく、
葵と謙信のことを語り合っていた。
信玄「ところで酌とか言っていたが・・・
謙信のやつ、姫に飲ませたりしないよな」
義元「高確率で飲ませそうだよね」
幸村「・・・さすがに元服男子と変わらなさそうだし、
飲ませても問題ねーんじゃねえの?」
佐助「・・・俺のいた時代では、
飲酒は二十歳こえてからなんだ」
幸村「・・・佐助はあいつの年齢、
いくつぐらいだと思う?」
佐助「・・・二十歳はこえてると信じよう」
次第に話題は、葵が未成年飲酒に当たらないか、
・・・という心配に変わっていった。