第18章 婚姻の儀
謙信が葵のそばを離れた時、
顕如が葵に声をかけた。
顕如「そういえば・・・」
葵「はい?」
顕如「あの時はすまなかったな」
葵「それは・・・・・・もういいです」
顕如「信長と軍神を戦わせるためには、
お嬢さんの存在は邪魔だったんだ」
葵「・・・それを兄に利用されたんですね」
顕如「いや・・・私があの者と手を組んだのだ。
お前を殺すためだけに」
葵「・・・次に戦場であったとき、
私の命をまた狙いますか?」
顕如「・・・敵ならばそれも仕方あるまい。
私もお前の夫も・・・
そして信長も戦場でしか生きられん男だ」
葵「・・・そうですね。
でも私は謙信様の隣で、
生きるとそう決めましたから、
あの時のように簡単には倒れませんよ」
顕如「・・・恐ろしいお嬢さんだ」
顕如は、葵に笑みを浮かべるとそばを離れた。
顕如「(殺せるものか・・・
あの娘は私にはまぶしすぎる・・・)」
顕如は心の中でそんなことを思うのだった。