第16章 呪いと思い
翌日、謙信は夢魔と顕如たちと決着をつけるため、
再び馬を走らせていた。
葵は天幕内で留守番をしていた。
昨日のように怯えさせたくはない・・・
という謙信なりの配慮であった。
葵は負傷兵たちの手当てを務めている。
部下「葵様。申し訳ない」
葵「いえ・・・私にできる唯一のことですから」
部下「そう卑下なさらぬな。
あなたは軍神の妻になるお人ですよ」
葵「!!妻か・・・なれるかな・・・」
部下「なれますとも・・・
・・・というより、
なりたくないのですか?」
葵「え・・・?」
謙信の部下にそう聞かれ、葵は驚く。
葵「考えたことなかった・・・
(でもそうか・・・
なんだ・・・簡単だったんだ・・・
私はずっと謙信様の隣にいたかったんだ・・・
ううん・・・
ずっとこれからもいたいんだ・・・)
ほかの誰かに許されなくてもいい・・・
ただ謙信様の隣にいたい・・・
いつまでもずっと・・・」
葵がそうつぶやいた瞬間だった。
葵の姿がまばゆい光に包まれる。
部下「これはいったい。
葵様そのお姿は・・・!?」
部下が目を開けると、
そこには異形な姿の葵がいた。
葵「・・・・・・大丈夫。
・・・あの人に会いに行くだけだから」
葵はそう言うと、
静かに謙信のもとに向かうのだった。