第14章 戦いの始まり
謙信「おそらくな。あの娘は優しすぎる。
周りに責められても表面上は耐えたのだろうが、
心は傷だらけなのだろう。
いまだに私なんかと言い続けている」
幸村「そうなるまであいつを、
責め続けたやつがいるってことですよね」
信玄「だろうな。でなければあんな反応はしない。
女の子をあんな風にするなんて信じられないな」
義元「たぶんここにきた当時は、
まだ一人は平気だったんだろうね。
でなければ牢の時点であの反応をするはずだ」
佐助「でしょうね。
ですが今の彼女には謙信様がいる。
だから失うことに怯えてあの反応になったんだ」
謙信「だがだからといってあの時アレが平気だったかは、
今となっては知るすべはない・・・
もしかしたら本当は、
不安だったかもしれん。
知っていたら牢になど入れなかったのだがな・・・」
謙信は苦々しい顔をする。
自分の知らぬところで、
暗く狭い牢の中で葵が泣く姿を想像していた。