第13章 口直し ※R-18
謙信「・・・できたら苦労はせん。
だがあの娘がそれをさせんだろうな」
謙信はそんなことを漏らす。
謙信「信玄、あの娘はな。
俺の子種以外受け付けんらしい。
俺はそれが喜ばしいことだと思った。
本当に俺だけのモノだとそう思ったのだ。
だがあいつはそれを望んではおらん。
いや、望んではいるのだろうが、
どこかで俺に愛されることに引け目を感じている。
喧嘩をしたところで、
あいつが本音を吐くとは思えん。
またあの日のように弱るまで我慢するか、
俺に捨てられることに怯え泣くか、
いずれにしてもあの娘に対しては、
最善とは思えん。
むしろ悪手だ。
だから二度と喧嘩をしてみろなどというな。信玄」
謙信は盃を握りしめていた。
信玄「お前もあの子も難儀な話だな」
信玄はともに実は脆く傷つきやすい二人に、
ため息をつきながら酒をあおる。
願わくばこの二人が幸せな関係に、
なってくれたらいいのにとそう思いながら。