第13章 口直し ※R-18
交わりの後、
謙信は悪夢を見て飛び起きていた。
謙信「・・・っ」
かつての伊勢姫のように葵を喪う夢。
葵が泣く夢を・・・
契りを幾度となく交わし、
褥を共にするようになってから、
見るようになった夢だった。
ふと謙信は横で眠る葵を見つめていた。
その目からは涙が流れていた。
葵「ごめ・・・なさ・・・い・・・」
葵のその涙も交わるようになってから、
見だしたものだった。
謙信「また悪い夢を見ておるのか・・・
安心しろ。俺はお前のそばから離れはしない」
謙信はまるで子供に言い聞かせるように、
自分にか、葵にか、
どちらのための言葉か分からない言葉をつげながら、
葵の頭を優しくなでた。
離れもしないし、離す気もない。
謙信はそう思いをこめ、
葵が見ているであろう悪夢を追い払おうとした。