ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第23章 彼の世界の彼
全く気にしていなかったが寝起きな為に化粧もせず私は裸足のまま彼へ抱き付いた訳で思い描いていた再会とは随分違っていた
久しぶりに見せる自身の姿に彼は何を思っただろう……なんて想像しても解らないが部屋着姿で未だベッドに座っている自身の姿に何だか気恥ずかしく成った
大きなリュックサックから洋服を取り出す私をじっと見ている彼の視線を受けながらも浮き足立つ足で洗面所へ飛び込んだ
彼は長居が出来ないと言っていたし身支度を急いでいないと言えば嘘に成るが、何時もより入念にメイクやへアセットをしてしまう気持ちは致し方無いと思う
洗面鏡の前でクルリと回り自身の姿を確認する
靴はスニーカー1足しか持ち合わせていないのでスニーカーでもおかしく無い様に肩が少し露出する白いTシャツにワイドパンツタイプのサロペットというシンプルな服装にした
可愛いと思って貰えるだろうか……
素顔とは違う顔を鏡に映した後に緊張の面持ちで部屋へ出た
「………お、お待たせしました」
先程とは打って代わりおずおずと部屋の中央まで進んだ私を彼は只じっと見ていた
チラリチラリと様子を伺う私を細めた双眼で捕らえた彼は
「綺麗に成ったね。」
単調に言った
その言葉は私を舞い上がらせて天に召す程の威力があり自動的に脳内エコーが掛かって頭に響きニヤける頬を隠す事が出来ない
「ほら、笑って無いで行くよ。」
ふぅっと息を吐いた彼は再びサングラスを掛けると私のリュックを軽々片方の肩に掛けたのだが私は慌てて制止する
「親方置いて行かんといてください!!!」
親方のケージはチェストの上に乗ったままだった
「………………どうやって連れて来たの」
なんて呆れた口調の彼にリュックにケージを括り付けて背負ってみせれば
「馬鹿じゃないの。」
心底呆れた表情を向けられた
別に彼に会えたのだから他の誰に何を思われ様とどうだって良いし然程おかしな格好だとも思わない
それなら余程ヒソカさんのコスチュームの方が……………
(………命の恩人………ありがとう。)
そんな訳で今私は黒塗りの車の後部座席に座っている
運転手はイルミさん
当然の様に助手席へ乗り込もうとした私だが誰かに目撃されると厄介だと後部座席を勧められた