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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第132章 砂の都




__________"



10:30



到着を知らせる汽笛が響いて私達は砂漠の街に降り立った

強い日差しが照りつけるこの場所の気温は50℃を越えるのだと彼から聞いた時には死を覚悟したが

湿気が無い分想像よりも平気だった

しかし想像よりも平気だっただけで暑いには違いない………



真っ青な空を仰ぎ見た隣で「眼球が溶けるよ」なんて物騒な彼の言葉に速攻で目を反らす


「え………ほんまですか……?」


「あながち嘘では無い。」


「………えっ………ちょっと溶けたかも………えー!先に言っといてくださいよ!!」


「馬鹿じゃないの。」





私は船を降りる際心に決めた




"今朝の事は無かった事にして精一杯今を楽しもう"である


せっかく人生に一度の甘く幸せな時間を過ごしているのに落ち込んでいては勿体無い

ネガティブな感情は置いておき、今この瞬間を胸に焼き付けた方が随分と幸せだ


彼と過ごすこの時はもう二度と戻らないのなら
誰よりも全力で楽しむ以外に選択肢は無い…………ッ!!!!




眼球が溶けるなんてチビりそうな台詞にびくびくしながらも辺りを見渡して自然と溢れた歓声


見渡す限り砂、砂、砂…………



「鳥○砂丘みたい!!!」


なんて表現力に乏しい感想を思わず口にして彼は完璧に私を馬鹿にしているだろうが鳥○砂丘は私にとっての最大の迫力を誇る砂漠である


日本生まれ日本育ち日本から出た事も無い私からしてみればその感想が一番しっくりと来ていた

目前に広がる高い砂丘は勿論私の知る景色より何倍も広大で迫力も別物なのだが

綺麗に舗装された港を一歩出れば砂漠であるという不思議な光景に圧倒される


ポカンと口を開いたままキョロキョロと辺りを見てみれば

鮮やかな赤い布張りのテントに巨大な四つこぶラクダを発見してテンションが爆発しそうに成る





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