ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第132章 砂の都
きっと同じ境遇の人を見付けたと思ったのだろう
同じロイヤルの客室……もしかしたらアキホさんは有名な御子息と婚姻し跡取りを……なんて期待を受けているのかもしれない
「でも…………こんな頼りない私が親になれるのかなって………」
不安を口にしながらも浮かべられた表情は幸せそうな淡い微笑みを浮かべ
本当は全然同じじゃない………なんて言えなかった
その後戻った男性陣を交えて食事を終えた私達は笑顔で手を振り合い別れた
「時間取られたけど……まぁ、一旦部屋に戻って荷物纏めたら丁度良い時間だ。」
なんて言いながら背中を向ける彼の黒髪を眺める
……………私よりも年下の新婚夫婦はしっかりと未来を見据えていた
……………私は…………私達は……………
望んではいけない望み
私達に安定した未来なんて存在しないのだから子供だなんてきっと………
複雑な気持ちが胸を締め付けてズキリと痛む
大好きな彼に出会えて
大好きな彼に選ばれて
一番傍にいて素顔に触れられる
大好きな声を聞き温もりを感じられる
今で十分過ぎる程幸せじゃないか
…………だけど…………私は初めてこの先の夫婦としての二人の未来を意識していた
サラリと流れる黒髪に物悲しい思考を振り払おうとぎゅっと拳を握り締めれば
「しっかり日焼け対策しないと丸焦げに成るよ。」
不意に振り返った彼がどこか楽しそうに声を響かせるものだから余計に胸がズキズキと痛んだ