ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第131章 余裕な彼と精一杯の私
じっと私を見詰める真っ直ぐな視線から目を反らせずに見詰め合う数秒を永久に感じる瞬間
彼は僅かに眉を潜めると
「……良いけど。」
淡々とした口調で承諾した
本当に些細で私でなければ見逃しちゃうくらいの小さな眉の動きは
彼の困惑と引いては可哀想だという気遣いの間に揺れる感情を私に伝えている様で
私は心底、膝から崩れ落ちてそのまま液体に成りたいと思う
気が付けばスタート地点に戻っていた為にシアターグッズコーナーは直ぐ近くで
悠々とポルノ映画のパンフレットへ向かう彼の背中に声に成らない声で叫ぶ
(全然いらん!!!全っっっっっ然いらん!!!ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!!)
淡白で無機質な彼が凛と通る声音で
「ラバーズセックスのパンフレットひとつ頂戴。」
と言った瞬間に私の何かが終わり
彼の何かを酷く汚した気分になり
私は土下座しようとする身体を必死に抑えて立ち尽くすのが精一杯だった