ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第131章 余裕な彼と精一杯の私
快晴の空には春の優しい青と薄い雲が流れ、カモメの元気な鳴き声が直ぐ傍に聞こえる
キラキラと輝く真っ青なオーシャンビューは素敵な1日の始まりを祝福している様で私は思い切り伸びをした後にデッキチェアに腰掛けた
心底幸せで清々しい気分だ
ワクワクと弾む気持ちに只海を眺めているだけでも楽しくて飽きる事無くどれくらいそうしていたのか
直ぐ傍で「おはよう」という無機質な声がして私は元気に飛び起きた
「おはようございます!」
振り返れば寝起きで開き切らない大きな瞳を気だるげに此方に向けた彼
眠った事で着崩れ、大胆に胸元の開いたガウン姿のまま私を見下ろしていた
途端にドキドキと高鳴る胸は彼への想いで騒がしい
海風に流れる長い黒髪が艶々と朝日に輝いてその眩しさに息を飲んだ私に彼は飄々とした態度のまま歩み寄ると唇を開いた
「いつから起きてたの?」
言いながら隣のデッキチェアに腰を下ろした彼がチラリと流した瞳と目が合って途端に身体中が熱く成る
犯罪的に美しく逞しい胸板が質の良いガウンから覗き見えて私の目線は不審者ばりに游ぎまくっていた
端正なお顔を見ているだけでドキドキしてしまうのに見事な筋肉まで見せ付けられては狼狽えるというものだ
彼はそもそも自分自身の魅力を何もわかっていない………
無意識的に露出された肌にすら私は動揺すると言うのに………なんて熱い頭で考えていると次の瞬間
大きな右手で私の頬をわし掴んだ彼は強制的に顔を突き合わせた先、おもしろく無さそうに細められた瞳と目が合った
「俺の話を無視するなんてどういうつもり?」
馬鹿みたいにドキドキと脈を立てる心臓が口から飛び出しそうになって間抜けに口をパクパクさせる
貴方の事を考えていたの………なんて言えず
何故そんなに魅力的なのか……なんて事も言える筈が無く
「も………もう一回お願い致します………」
なんて馬鹿みたいな声を漏らした私に小首を傾げて顔を覗き込んだ彼は淡々とした声を紡いだ