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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第131章 余裕な彼と精一杯の私






04月03日



昨日は凄かった


何が凄かったと言うと彼、イルミ=ゾルディックとしか言い様が無い………



あの後ボルダリングエリアでは収集が付かず逃げる様に去った私達が辿り着いたのはトレーニングジム


基本的に男性の方が割合の多い空間で私は完全に相手にされず、

見るからに大柄なマッチョに並べば着痩せする彼は如何程のものかと吟味されていたのだが

そんな事気にする素振りも見せず何百回なんて記録を争い合うマッチョ達の隣で器具を破壊し尽くして見事に出禁を食らった


ゾルディック家の門に比べれば羽の様に軽かったのだろう………と言うのが私の感想だ………




目が覚めてぼんやりとした視界に天井を見詰めながら思い出し笑いを噛み殺す

彼は心底満足そうに「器具が軟弱過ぎる」と漏らしていて

無表情からは全く思考は読み取れないが心無し楽しそうに見えた




(力も流石やけど………可愛かったなぁ~………)



クスクスと思い出し笑いに肩を震わせながらも明るいガラス壁へ視線を向けると窓越しに広がる海は波を立てて動いている



「…………綺麗……」



高級ホテルだと言われても違和感の無い部屋の外、白波が立ち海面を揺らす光景に船が前進しているのだと思えば途端にワクワクと弾む胸


私は今船で旅行しているのだと染々実感させる景色にすっかり目覚めた私はそろそろとベッドから抜け出した


広いキングサイズのベッドは2つ並んでいるけれどスヤスヤと穏やかな寝息が同じブランケットの中から聞こえる

彼が入浴中既に夢の中だったので気が付かなかったが彼はどうやら私と同じベッドで眠ったらしい

キュンと高鳴る鼓動は甘く私の胸を締め付けて光を通さぬ様に少しだけブランケットを捲って見れば緩く拳を作る大きな手



………………手だけでこんなにも愛しいって凄い…………



本当にほんの少し捲っただけなので黒髪に隠れた寝顔は見えないし見えたのは手だけだったのだが私の頬はニヤけ切っている


体勢的に彼は大きな身体を小さく丸めて眠っているのだろう……なんて想像にキュンキュンしながらも私はバルコニーに出てみる事にした

深く眠る彼を起こすのはしのびないのでブランケットをそっと元に戻して

音を立てぬ様にそろそろと開いたガラス扉から吹き込んだ爽やかな潮風が頬を擽った




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