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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第130章 スポーツの船






「上級者用ってあれ?」


彼の指し示した方向に間違いなく深く頷けば悠々と進み離れて行く彼の背中

きっと特に嫌がる素振りも無かった事から、興味は無いが付き合わない事も無い……といったスタンスだったのだろう

楽しいと思えた事を少なからず共有出来る事は嬉しい


足をブラブラ揺らしながら彼の後ろ姿を眺め、サラサラと流れる黒髪が上級者用コースにたどり着いた頃

私は漸く周囲の変化に気付いた


彼に集中する視線、ひそひそながら確実に黄色い声


私はこの時初めて彼が想像を遥かに越えて注目されていた事に気が付いた


8人グループで研修を受けた際、女の子が「綺麗」と口にしていた事は知っていた


………当たり前だ、本当に綺麗なのだから。


私の経験上、彼が人混みで目立たないという事は本当に皆無だった

それで稼業に影響は無いのかと思うけれどそんな事も理解した上で仕事をこなしているのだろうから問題は無い事で……


フロアの8割を女性が締めるこの場所で彼への注目度が異様である事に気付いた今、私は酷く狼狽えていた


知っている、彼が魅力的な事くらい

知っている、彼が目立つ事くらい



……だけどうっとりとした瞳を浮かべる女性に『私は彼の妻なのだ!』と叫び出したい気持ちになった


そんな事は露知らず軽々足を掛けた彼は衣服越しでは想像も付かない身体能力でスイスイと壁を登って行く


一斉にフロアに響く黄色い歓声


そして羨望の眼差し


それはトレーナーの先生も例外では無く……


まるで呼吸をする様に容易く頂上に到達した彼に小さな拍手が響けばその内フロアを巻き込んだ大きな拍手と成って


私はそんな彼に惚れ惚れする気持ちと複雑な気持ちが入り交じり只彼を見上げていたのだが


…………しかし、彼の身体能力はそこで終わりでは無かった………



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