• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第130章 スポーツの船






感情の読めない大きな瞳はキョトンと私を見詰めていたのだが

私の言葉にすっと反らされた視線から感じる彼の気持ち……


……………彼は反省している


多分彼もやっちまったと感じていたのだろうけどすっとぼけて流す気だったのだろう

それを真っ向から指摘されて素直に謝罪したので今回は何も言わないが………


………スイートハニーを危うく粉砕し掛かったのにすっとぼけてやり過ごせると思っている辺りに彼の異常性を感じざるを得ない………


何があるのか知らないが未だ地面をじっと見詰め続けて反省を醸し出す彼に

"もしかしてポーズだけ反省してませんか"

という言葉も飲み込んで言葉を発する


「次はもっと柔らかく、えっと優しくお願いします!」


「うん。」


私の声に普段より無表情な顔を上げた彼は私の打ったボールを真剣な眼差しで見据えた


ゴクリと固唾を飲み込む私は自分で思う


以前なら絶対に再トライなんて危険な事に挑戦等しなかっただろう………


しかし私は彼と過ごす内に彼の優しさや沢山の気遣いを知り彼の危うさに向き合える心が芽生えたのだ



ビュンッと空を切った彼のラケット


そして突風と共に何かが私の隣を通り過ぎて行く気配は凄まじく早く


私が振り返った先、ボールはコンクリートの壁に衝突痕だけを残してバラバラに粉砕していた


視界の端に写った破れたネットは何故か焦げ臭い煙を漂わせ

きっと衝撃に耐え兼ねたボールだった破片が風にチラチラと舞うのを静かに見詰めながら私はぼんやりとした声を漏らした



「テニスやーめた」




/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp