ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第130章 スポーツの船
同じウェアに身を包んだ私達と中年男性は間違いなくお揃いで……
………船内指定のものなのだから不特定多数と同じで至極当たり前なのだが……もう少し夢を見ていたかった
そしてそんな失礼な自分の思考にもうんざりしてしまい溜息を付いた後にチラリと彼を見上げた先
彼は私の思考を全て見透かしたとばかりに
「ふっ………」
心底馬鹿にしていると言いた気に鼻で笑うものだから私は少し泣きそうになった
___________"
私達は中年男性と同じ格好で同じアクティビティエリアへとやって来た
その後私の機嫌を伺うでも無く見下した様な態度の彼に拗ねモードになっていた私だが考えずとも馬鹿馬鹿しい理由なので
そんな事よりもスポーツだ!アクティビティだ!と、気持ちを楽しい方向へ持ち直した
広大なフロアには大勢のお揃いウェアの方がいるし正直どうでも良くなっている
私は案外切り替えが早いタイプだ
元々ペアルックなんて幻想だったのだから忘れる事にして
沢山のアクティビティの中から何を始めようか、なんてワクワクと弾む胸
大きな看板には沢山の案内
時間はたっぷりあるのだし一先ず一番やりたい事から始める事にした
「イルミさん!テニスしましょ!」
「良いよ。」
頷いた彼の手を引いてやって来た野外テニスコート
ネットを挟んで彼と向かい合う
…………実の所私はバドミントン経験者だ
だから何だと言われてはおしまいだが……多分バドミントンとテニスは似ている
同じようにラケットを使うし形式も似ている
故に私は自信に満ち溢れていた
「行きますよー!」
「うん。」
ポンっと小気味良い音を鳴らして飛んだボール
彼のラリーを待ったまま数秒が経過して私達は只立ち尽くしていた
間違いなく彼の傍でバウンドしたボールが忽然と消えたのだ
…………………………?
「え…………?」
ボールが何処にも見当たらない現状に私の声だけが響いた
私は確かに彼のコートにボールを打った
しかし忽然と消えた
これは……………この感じは……………
「イルミさんボールは?」
私は至極冷静だった
私だって馬鹿じゃない