ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第129章 新妻の意識
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21:00
優雅に……とは行かないが贅沢なディナーを堪能した後私達は広いパーティーホールにやって来ていた
キャプテンウェルカムパーティーなる乗船客参加型のこのイベントはこの船の船長が主催しているらしく恐ろしく華やかな雰囲気だ
皆一様に特別なお洒落をしているのか色鮮やかに咲くドレスとフォーマルなタキシードで彼が連れ出してくれた舞踏会を彷彿とさせていて
私は本当に数分で終わったマリッジブルーを越えてその豪華絢爛な雰囲気に辺りを見渡すばかりでポカンと呆けていた
………住む世界が違う人々……なんて言葉が自然と浮かぶ中
オーケストラの生演奏に目を向ければ沢山の紳士淑女の皆様が静かにアルコールを嗜みながら耳を傾けていた
豪華だ!とか、凄い!と思う気持ちは素直にあるけれど正直私には理解から遠いものだ……
私は上流階級の家に育った訳では無いし興味も無いので楽器の音や奏者の腕なんて全く理解出来ず
まして異世界故に身近に聞いた事のあるクラシックの曲も皆無ではちんぷんかんぷんなのだ
………しかし彼の世界にこれからも付いて行くのだからパートナーとして恥ずかしく無い様にこれから知識を深めるべきだろうか……?
やはりこういった場に滅多に来ないにしてもマナーも知らない馬鹿では彼の迷惑に成ってしまうだろうし……なんて考え込んでいると
「近くで聞く?」
彼は両手に赤ワインのグラスを持ちながら私の背後から声を掛けた
さらりと渡されたグラスに小さくお礼を伝えながらも聞きたいかと言われれば全くで微妙な反応をしてしまう
「イルミさんってやっぱりクラシックとか詳しいんですか……?」
「………まぁ一応ね。」
「私も詳しくなった方が良いでしょうか?マナーとか」
「また変な事を考えたね、別に今のままで良いよ。大体興味無いでしょ。」
呆れ顔の彼に苦笑いを浮かべる
どうやら取り越し苦労だった様だ
まぁ……彼に付いて行くと言ってもゾルディックに嫁ぐ訳でも無いし問題無いのだろう
私は事実上とは言え結婚だ!と知らず知らずの内に気張ってしまっていたらしい………もっと肩の力を抜いて気楽に行こうと心に決める
きっと私が気張った所で超短時間マリッジブルーや馬鹿な空回りに終わるのは目に見えているのだから……なんて考え込んでいると