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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第129章 新妻の意識







彼は一通り目を通したのかケースの中央にあった葉巻を受け取ると私の手を引きソファーに腰掛けた


チラリと一瞬合わさった視線

彼は手慣れた様子で葉巻をカットしていて

私はその流れる様な所作を只静かに眺める他無く

テーブルに常備されているガスライターで葉巻の先端を炙る彼の姿に間抜けな声が漏れた


「………イルミさんって葉巻吸うんですか……?」



純粋な疑問だ


彼は私の前で煙草や葉巻を吸った事が無い

それ以前に匂いの強い物を避ける彼が真反対の葉巻を扱っている事は私に盛大な違和感を与えた

そんな私にチラリと視線を流した彼は葉巻の先に炎を当てたまま


「一応たしなみとして知ってるし一通りは吸わされたかな。別に好きでは無いけど」


気だるげに違和感の訳を話してくれた


つまり彼個人の趣向としては興味も無いが家の都合や何らかの理由から経験はあると言う事で

先端の全体に火の付いた葉巻を咥えた彼はゆっくりと吸い込むと唇から煙を吐き出した

部屋に漂う独特な香りは彼には無い物で全く知らなかった彼の新たな一面に何故か緊張してしまう


本当につまらなそうな顔をしながらもサラリと私の知らない世界を行く彼にドキドキと心臓が高鳴る中


「はい、吸いたいなら吸えば。」


彼は火の付いた葉巻を私に差し出した


「……え……あ、私吸えますかね……」


「比較的吸いやすいのを選びはしたけど要らなきゃ要らないで良いよ。」


おずおずと受け取って恐々唇に運び思い切り吸い込んだ瞬間


「ゲボゲホッ……!!ガハッ!!」


優雅な部屋の雰囲気をぶち壊す様に激しく咳き込んでしまった


…………未知との遭遇…………


私には優雅に葉巻なんて無理だった………





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