ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第129章 新妻の意識
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パーティー迄の時間を考慮した結果、映画やオペラ、アクティビティ類は後日のお楽しみにして
ショッピングエリアを目指していた私達だったが丁寧な看板にシガールームの文字を見付けて軽く覗いて見た所
全くの見当違いにポカンとしてしまった
私の想像していたシガールームはショッピングモールなんかの無機質で何の彩りも無い狭い空間……所謂喫煙所
しかし目の前に広がっているのは重厚な焦げ茶色のソファーやテーブルで統一されたシックな部屋
その中で寛ぐ紳士淑女の皆様は優雅にコーヒーカップを傾けながら談笑していたのだ
カルチャーショックとは唐突に訪れるものである
私の思い描いていた喫煙所なんて高貴な方々からしてみれば謎の深い空間だろう、しかし私からしてみればシガールームなる場所は謎に満ちた空間だった
ガラス壁越しに中を覗き見たまま固まる私に背後の彼は息を吐くと
「気になるなら入る?」
然程興味無さ気に言った
振り返って見ればやはり彼は興味が無さそうな顔をしているけれど私は早々無い人生経験への好奇心に考えるより先に頷いていた
考えずとも私達は煙草とは無縁であり何の目的も無いエリアなのだが一応法的に喫煙を許される年齢だ
別に普段から興味がある訳では無いけれどこの空間に興味を擽られてしまった訳で
先を行く彼の背中を追って部屋へ入れば想像していた香りとは違った匂いが鼻を通った
部屋を見渡せば燕尾服の女性が私達に歩み寄って来て
「ご所望の物をどうぞ」なんてニッコリ微笑みながらケースを開き見えたのは厳つい葉巻だ
葉巻なんて無縁の私はポカンとしたまま凝視する
初めて見る物体
何を基準に何を選べば良いのか全くわからない…………
うーん、なんて唸りながら凝視しているとすっと伸びたしなやかな指がその内の一本を指した
「これ一本頂戴。」
「かしこまりました」