ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第23章 彼の世界の彼
『9時30分に到着する。』
短い通話は直ぐに切れた
「…………ボクまだ返事もしてないよ♦️」
ベッドから上体を起こして見たが素肌に流れるタオルケットの感覚にまだ睡眠を手放したく無いと欲が訴える
直ぐ傍のチェストに乗ったデジタル時計が示す時間は6時12分
知る限り待ち合わせ場所に男は決して早過ぎず遅過ぎず時間ぴったりに現れる
隣のベッドがモソモソと音を経てるので視線を向けると彼女が寝返りを打って此方を向いた所だった
着信音にも気付かずに熟睡する彼女に手を伸ばせばチェストを挟んでいても直ぐに癖のある髪に指先が触れる
自身と一夜を共にしてこんなにも意識されなかったのは初めての経験だった
「………君はもう少し眠ると良いよ♥️」
その後彼女は自身が傍で着替えを済ませてもメイクを施していても目覚める事は無く
そっと頬に口付けてみた
「唇もその内いただくね……♥️」