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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第128章 仕返しと浮かれた船






港から吹き込む風に艶々と長い髪が揺れる

清潔に着こなされたシンプルなジャケット、タイトな黒のズボンが脚の長さを強調していた

中性的で恐ろしく整った顔の中でも印象的な猫目は真っ直ぐに私を見詰めて

スラリと高い身体を屈めて手を伸ばした彼は世界中で私だけを視界に映していた



「ほら、真っ赤に成ってる場合じゃないよ。」


彼の魅力に魅了されて見惚れる私の左手を掬った彼は頼もしくも優しく私の手を引いた


この人が大好きだと身体中に血液が巡る様に実感して

私はこの人の最愛に選ばれたのだと思えば泣き出したい程幸せに成った

そんな彼と共に今からハネムーンに旅立つ

まるで夢の中の出来事の様に現実味が無いのにドキドキと高鳴る胸は本物だった


しっかりと指を絡めて歩み出す彼の横顔を見上げて


私はこんなに幸せで良いのだろうかと贅沢過ぎる今を後ろめたく思う程の幸福

そんな気持ちにさせてくれる彼の傍に居られる私はきっと世界一の幸せ者だ



「ほんまにありがとうございます……私イルミさんと……こんな……ほんまに幸せです」


溢れ出す気持ちは巧く言葉に成らなかったけれど


「まだ始まってもいないよ、沙夜子は大袈裟だね。」


なんてクスリと笑みを溢した彼に私は満面の笑みを向けていた




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