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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第127章 他愛ないヒトコマ






こればかりは仕方がない

可愛いが過ぎる成人男性が悪いのだ


単調な彼の声を辿り、ニヤニヤと気持ち悪い顔のまま振り向いた先

不審な私の様子をキッチンカウンター越しに静かに見ていた彼はびっくりする程冷たい眼差しを私に向けていた


心にブリザードが吹き荒れる程に冷酷な視線を浴びて私の笑い声はピタリと止んで動作が停止する



「………………」


「………………。」



凍てつく様なそんな目で私を見ないで欲しい………


事実婚とは言え仮にも新婚にあるまじき視線は愛する人間に向ける物では無いだろう

私にはそんな目で彼を見る事なんて出来ない…………


彼の中で私は余程おかしな人物で、不審者スレスレなのでは無いかと思う

彼の愛しさに只笑顔を溢しただけでこの有り様……胸が痛い……


何とか不審人物から愛するスイートハニーへ返り咲かなければと絞り出した声に



「………えっと、一緒に作りませんか……?」



彼は呆れた様に溜め息を吐き出しながら「いいよ。」と長い髪をまとめた



私の隣にやって来た彼は基本的に見ているだけだが野菜を切って行く


玉ねぎに盛大に涙を流す私の隣で彼の大きな瞳はウルりともしない

私よりも随分と大きな目なのでさぞ刺激されるだろうと思うのだが……




「……イルミさん玉ねぎ大丈夫なんですか」


「当たり前じゃん。」


「訓練ですか……?」


「うん、玉ねぎから分泌される硫化アリルは催涙スプレーにも希に混ぜられるから訓練済み。」


「成る程です……」



一体どんな訓練を受ければ平気に成るのかは微塵もわからないがそもそも彼に涙を流すという身体機能は備わっているのだろうか


人間なのだから持ち合わせているだろうけど全く想像する事が出来ない


玉ねぎのみじん切りを終えて挽肉を取り出しながら私は実に不思議な質問をしていた


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