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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第127章 他愛ないヒトコマ






「イルミさんって泣けますか?」


彼も人間なので一度も泣いた事が無い……なんて事は無いだろうけど今現在の彼に泣くという行為は可能なのだろうかと思ったのだ


そんな一般人同士では交わさないであろう質問に



「さぁ、どうだろう。」



彼は小首を傾げてしまった


泣けるのか泣けないのか、本人にもわからないらしい

酷く欠落した彼の感情を改めて実感する様でズキリと胸が痛い


「最後に泣いたのは?」


「覚えてない。」


もしもこの先彼が泣く事があるのなら私の前で涙を見せて欲しい……なんて思ったりした




_________"




二人で作った夕飯を食べて同じベッドへ横に成れば大好きな香りに包まれる


やっと戻った柔らかな日常


彼が傍にいる幸せにドキドキと胸が高鳴って中々寝付けずに暗い天井を見上げる

そっと視線を向ければ彼は静かに睫毛を伏せていて

今この時彼の存在が誰よりも近い事に胸が一杯に成った



薄ぼんやりとした静寂の中一心に彼を眺めていると深い呼吸と共に彼は瞼を開いて私に目を向けた


眠っているものとばかり思っていたがパッチリとした瞳に彼もまた睡魔から程遠いのだと知る


「そんなに見られると眠れないんだけど。」


なんて言いながらゴロリと此方へ距離を詰めた彼にドキドキしながらも見詰め合う最中


「近々旅行にでも行こうか。」


彼は穏やかな声色で言った


途端に踊る胸

私は今あからさまに嬉しそうな顔をしているだろう



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