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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第127章 他愛ないヒトコマ






思っている事は沢山あるけれど内容が内容だけに口に出せず体温が上がる

何か別な事を話そうにも思考事態が彼に染まっていた事で何一つ思い浮かばず口ごもっていると

彼は開いたままだった本を静かに閉じて本格的に観察する眼差しを向け始めた


「どうしたの、言ってごらんよ。」


溜め息混じりに放たれる声は特別威圧的では無いのだが彼の大きな双眼は私の全てを見透かそうと視線を注ぐ



「あ、あの………」



あからさまに裏返った声で私が口にしたのは



「イルミさんって何で噛むんですか………?」



核心からはズレた事だった


彼本人を前にして「余韻に浸る事はありますか」なんて言える筈も無いが

それにしたって咄嗟に出た言葉は行為中に関わる何とも気まずい事だった


瞬間的に汗が吹き出し、無言を埋める様に乾いた笑いを漏らす私に一瞬眉を潜めた彼は悠々と唇を開いた



「うーん特に理由は無いけど……強いて言えば思い出作りかな。」


「……………え?」


「ん?」



「思い出……?………ちょっと理解出来ないんですけど……」


「馬鹿な沙夜子にも解りやすく言うと身体が痛みを感じる度に色々思い出すだろうから簡単には忘れ無いだろうって事。」





淡々と紡がれた台詞はかなり衝撃的だった

唖然と開いたままの口がふさがらず顔が爆発しそうに熱くなる




………彼がまさかそんな事を考えていたなんて………


私が行為を思い出す様にわざと噛み付いていたなんて……



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