ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第126章 彼と彼女が取り戻した日常
タオルでガシガシと髪を拭いながらリビングへと戻ると大きなソファーに深く身体を預けて長い脚を放り出した彼の姿に私は漸く日常を取り戻したのだと実感する
色違いのマグカップから上がる湯気はコーヒーの香りを漂わせ
アパートでの日々と変わらず静かにマグカップを傾ける彼の仕草にキュンと胸が高鳴った
ただ、そんな彼に苦笑いを溢した理由を話すなら私の身に付けていた衣服が只の布切れに成って床に散乱していたからで
ぼんやり見惚れたまま感慨に浸る私に気だるげな眼差しを向けた彼は悠々と立ち上がると真っ直ぐ此方へ足を向けた
何も言わず目前迄やって来た彼をドキドキしながら見上げれば
「………沙夜子……もう離さないから」
逞しい胸にぎゅっと身体が包まれてきつく私を抱き締めた彼はポツリと言葉を落とした
安心感を覚える彼の香り、強い意思を感じさせる声に私は溢れる想いのまま広い背中を力一杯抱き締め返して
身体中にじんわりと滲んで止めどない愛しさ
彼が愛しくて仕方がないと心が震える中、軽々と運ばれたベッド
頬にサラリと落ちた髪が二人きりの世界を作り出し、彼は男性の色を滲ませながら激しく唇を重ねた
彼の舌は歯茎や上顎をなぞって絡み激しく貪る様に角度を変える
懸命に彼のシャツにしがみ付いてみても翻弄される口内に痺れる様に走る甘い刺激
久々に感じる彼の唇に頭から溶けてしまいそうに幸せで