ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第22章 奇術師と夜
ヒソカさんには前科がある
其れはイルミさんの戦闘意欲を向ける為の物だったし自身を異性として見ている訳では無い
しかし今回だって朝イルミさんが来るのだから罠に使われてもおかしく無いと思ってしまう
先程バーで助けて貰った命の恩人でもあるし汚ならしかった私のお風呂の恩人でもあるが其れと此れとは話しが違う
チラリと視界に映る2つ並んだベッドはチェストを挟んで其れなりに距離がある事を確認する
「クックックッ………其れってどんな事だろう♥️」
なんて際どい台詞を聞いていなかったフリをして
只感謝する事にした。
汗と泥にまみれた状態で彼に会わずに済んだのはヒソカさんのお陰だ
久しぶりの再会なのにボロ雑巾みたいな格好では決まらない
本当に感謝だ……なんて考えていると
「あの子のお名前は?♥️」
ホテル到着後直ぐにチェストの上に乗せた親方のケージにヒソカさんは視線を向けていた
「ライオネル親方です!」
「ライ………?♣️」
途中迄呼んでおいてまた笑い出したヒソカさん
自身が笑われている事は解っているが本当に良く笑う人だ……
何がそんなに可笑しいのか私には解らないがとりあえずグラスを傾けてアルコールを喉に流し込む
もしかしたら今日はたまたま機嫌が良いのかもしれない……なんて思ったが真意は聞かない事にした
「次元を越えたハムスターは彼が初めてかもしれないね♥️」
グラスの氷をカランと揺らしながらニッコリ笑うヒソカさんの言葉にごちゃごちゃ考えていた思考は一瞬にしてすっ飛び私は本気で感動した
死線を潜り抜けたハムスター……
ライオネル親方………!!!!
「…………確かに!………凄い……!!」
なんて他愛無い会話を続けて何杯目になるか解らないグラスを傾ける
正直随分前から睡魔で瞼が鉛の様に重たい
ヒソカさんは特段距離を詰めたりする事無く色々な話しをしてくれるのだが、どう頑張ったって眠たくて仕方がない